しまぞうブログ

プログラミングと資産運用

【積みレバ】レバレッジETFの積立は思考停止で良いのか【レバナス】

レバレッジETF※に投資して放置してれば爆益確定!
狼狽売りさえしなければ大丈夫!

レバレッジETFは、1日の値動きが元指標の〇倍となるよう運用されているETF(上場投資信託)です。

このような意見をSNSで見かけることがあります。そのたびに私は「本当に狼狽売りせずにいられるのかな」と思ってしまいます。

また、「積立であれば安心」といった謎の意見も見かけます。下落時に多く仕込めるからということだと思いますが、深く検証されている方を見かけません。

memo

大手証券会社HPの積みレバ(レバレッジ商品の積立)シミュレーションは、リーマンショック後の投資環境の良い時期にフォーカスを当てており、信頼できるデータとは言えません。

そこで本記事では、レバレッジETFの代表格であるSPXL(S&P500ブル3倍)を例にして、レバレッジETFの積立シミュレーションをしていきます。シミュレーションは積立開始時期を変えて行います。

等倍ETFの積立開始時期については、以前に以下のように結論づけています。

  • 積立開始時期による差は小さいので、すぐ積立開始していい
  • 上昇局面に入る前の投資金額が多いほどリターンが大きい

詳細は以下の記事をご覧ください。

https://shimazoh.hatenablog.com/entry/reserve-start/

一方、レバレッジETFは一日の価格変動が大きくなるので、その分暴落時の影響が大きくなります。このため、傾向が変わってきます。

結論のみ先に言ってしまうと、以下のようになります。

  • 等倍ETFと異なり、積立を早く始めればよいというわけではない
  • 70%を超えるドローダウンも普通にありえる。下落を待つのも手。
  • 何も考えずに中途半端に放置するのは危険。

このように、レバレッジETFの場合は、仮に積立であっても思考停止して良いほど安全ではありません。

それでは詳しく解説していきます。
※投資は自己責任でお願いします。

SPXLの株価推移

検証に入る前にシミュレーション対象のSPXLの推移について確認しておきましょう。

以下は1996年~2020年9月までのSPXLの推移です。SPXLは2008年以前のデータがないので、株価の推移は以下のサイトを参考に計算し、疑似的に生成しました。

SPXLリスクコントロール・ポートフォリオ│SPXL投資の新しいカタチ

2000年頃がITバブル崩壊、2010年頃がリーマンショック、2020年頃がコロナショックです。およそ10年周期で株価が暴落しています。

それでは、リーマンショックとITバブル崩壊前後で積立開始した場合について検証していきましょう。

リーマンショック前後で積立開始した場合

下のグラフはリーマンショック前後の各年の初めに積立投資を開始した場合のリターンを表したグラフです。

2009年のリーマンショック真っ只中の頃はひどいことになっていますね…
ただ、それを我慢できた方は非常に大きなリターンを手にしています。

分かりやすくするため2020年9月1日時点のリターンを切り取ると、以下のようになります。

底値の2009年3月より前に積立開始できているかどうかで差が大きいのは、S&P500のときと変わりません。しかし、その後のリターンの減り幅は大きく、レバレッジETFの特徴をよく表しています。

また、2009年以前については、積立開始が早いほど若干リターンが悪くなります。積立金額が多いほど、暴落の影響を強く受けてしまうためです。

なお、S&P500の等倍ETFの場合はほとんど差がなく、むしろ積立を早く開始するほど若干リターンが良かったです。

ITバブル崩壊前後で積立開始した場合

リーマンショック後の2010年代は、株価が大幅に上昇した10年で少し特殊な事例かもしれませんので、ITバブル前後で積立開始した場合のリターンも検証してみましょう。

下のグラフはITバブル前後で積立投資を開始した場合のリターンを表したグラフです。

2020年9月1日時点のリターンを切り取ると、以下のようになります。

先ほどのリーマンショック前後の場合と同様に、株価下落時に積立開始したほうが少しリターンが良くなります。

株価推移をリーマンショック後の2012年までで拡大すると、以下のようになります。

リーマンショック前にはリターンに差が見られますが、リーマンショック後はリターンが同じぐらいになります。

リーマンショック前の最高値2007年10月9日のリターンを切り取ると以下のようになります。

やはり株価下落時に積立開始した方がリターンが良いです。暴落前は差が顕著です。

一方、最低値2009年3月9日時点のリターンを切り取ると以下のようになります。

株価が大幅に下落した際には、レバレッジの効果でリターンが似通ってきます。これにより、リーマンショック後のリターンも似通ってきます。

それ以上に、株価暴落時に資産が10%近くまで減ることに注意が必要です

CHECK
  • 資産が十分の一になってもレバレッジETFを握り続けられますか ?
  • 大暴落時は買増しの大好機でもありますが、余力が無ければ何もできません。そのような状況に耐えられますか?

長期積立投資であっても、何も考えずにレバレッジ投資に手を出すと危険です。
出口戦略を練ったうえでの投資が必要となってきます。

まとめ

本記事ではレバレッジETFの代表格であるSPXLを例にして、レバレッジETFの積立シミュレーションをしました。その結果、SPXLの積立投資ではS&P500とは異なる結果となりました。

まとめると以下のようになります。

  • 等倍ETFと異なり、積立を早く始めればよいというわけではない。
  • 株価暴落時の下落幅が大きいので、リスクを考えれば待つのも手
  • 中途半端な放置はかなり危険。

S&P500については、「今すぐ始めて、あとは放ったらかし」でも、さほど問題はありませんでした。しかし、レバレッジETFはきちんとした管理をしないと痛い目に遭います。手を出す際には、自分なりの戦略を決めて運用しましょう。

私は株価の暴落時にレバレッジETFを仕込めるように、普段は等倍ETFに投資しています。こうすることで暴落早く来ないかな~という気持ちになります。